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TikTok Shop広告攻略|GMV Maxの設定方法と運用のテクニック

2025.11.25
  • TikTok

TikTok Shop(TikTokショップ)の勢いを感じつつも、出店に迷っているEC事業者の方も多いのではないでしょうか。そんな方にぜひ知っていただきたいのが、Tiktok shop GMV Maxです。TikTok Shopが提供する「GMV Max」は、広告配信の効率化と売上向上に大きく貢献する注目の機能です。しかし、「GMV Maxとは何か?」「従来の広告ツールとどう違うのか?」「手動運用との違いは?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、TikTok ShopのGMV Maxについて、基本的な仕組みから導入のメリット、海外企業による成功事例、そして効果的な運用のポイントまでを詳しく解説します。TikTok Shopでの広告運用に不安がある方や、GMV Maxを活用して売上を伸ばしたい方は、ぜひ最後までご一読ください。

『TikTok Shop(TikTokショップ)』 GMV Maxの基本

引用元:TikTokShop for Business

TikTok ShopのGMV Maxは、TikTokアプリ内で商品を販売できるEC機能「TikTok Shop」において、売上(GMV=流通取引総額)を効率的に伸ばすための広告機能です。広告の作成・配信・予算管理などをAIが自動で最適化してくれるため、手動運用に比べて負担が少なく、成果を出しやすいのが特徴です。

Google広告の「P-MAX」やMeta広告の「Advantage+」と同様に、GMV MaxもAIを活用した運用型広告で、TikTok Shop専用の仕組みとして設計されています。

GMV Max最大の魅力は、オーガニック投稿・アフィリエイト投稿・広告用クリエイティブの中から、成果の高いものをAIが自動で選び、広告予算を効果的に配分してくれる点です。これにより、売上の最大化が期待できるだけでなく、ブランド認知の向上によって「いいね」や「保存数」が増えたり、自社ECサイトへの訪問者数が増えるなどの“ハロー効果”も期待できます。

TikTok Shopの他の便利な機能については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

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TikTok Shop GMV Maxの機能と設定手順

TikTok Shop GMV Maxの機能と特徴について詳しく解説いたします。GMV Maxは大きく分けて「Product GMV Max」と「LIVE GMV Max」の2つで構成されており、それぞれ異なる販売手法に対応した最適化機能を提供しています。商品販売に特化したProduct機能と、ライブコマースに特化したLIVE機能を使い分けることで、セラーの販売戦略に応じた柔軟な運用が可能となります。各機能の詳細な仕組みと具体的な設定手順について、実際の管理画面を参考にしながらご紹介していきます。

Product GMV MaxとLIVE GMV Maxの比較

Product GMV Max

Product GMV Maxは「カート付きショート動画」の広告配信を管理する機能です。ユーザーの目に留まりやすいよう、「おすすめフィード」「ショップタブ」「検索結果」などのフィード上に表示されやすくなるよう広告を最適化します。使用できるクリエイティブ形式は、「動画」「静止画」、そして商品詳細情報を含む「商品カード」の3種類です。AIが動画の視聴傾向やユーザーの行動を自動で分析・学習し、設定された目標ROI(投資対効果)に基づいて、広告の配信タイミングや予算配分を調整します。

この仕組みにより、広告効果を最大限に引き出しながら、効率的な運用が可能になります。

出典:TikTok for Business

LIVE GMV Max

LIVE GMV Maxは、TikTokのLIVE配信中の売上を最大化するための広告機能です。配信中に発生する「商品クリック」「コメント」「いいね」など視聴者の反応をリアルタイムで分析し、購入意欲が高いと判断されたユーザーを特定します。そのユーザーに向けて配信を優先的に表示することで、限られた配信時間の中でも効率よく売上を伸ばすことができます。

出典:TikTok for Business

GMV Maxキャンペーン設定方法

キャンペーンの設定は非常に簡単です。セラーセンター左側のメニュー内「ショップ広告」→「GMV Max広告を作成する」と進みます。

キャンペーンの詳細を入力します。

①Product GMV Maxを利用する場合は「商品をプロモートする」を選択し、LIVE GMV Maxを使う場合は「LIVEをプロモートする」を選びます。

②プロモートする商品を選択してください。「すべての商品をプロモートする」を選択すると出品中の商品が全て広告対象になります。

③ROIの目標値を設定します。過去の広告キャンペーンを参考にして、現実的な数値を入力することがポイントです。目標が高すぎると広告予算がうまく使われず、逆に低すぎると予算が早く消化されすぎてしまうため、売れ行きや予算の消化状況を見ながらバランスよく調整しましょう。

なお、こちらのROIは「売上 ÷ 広告費」で算出される指標で、一般的な広告用語でいうROAS(広告費用対効果)と同じ意味です。

④日次予算を入力します。

⑤使用するクリエイティブを選びます。初期設定では「自動選択」が有効になっており、AIがパフォーマンスの高い素材を自動で選んで配信します。ただし、使いたくないクリエイティブがある場合は、除外設定を行いましょう。

また、自社で配信内容を細かく管理したい場合は「手動選択」に切り替えることで、使用するクリエイティブを自由に指定できます。

⑥TikTok Shopが毎月開催している公式キャンペーンのタイミングに合わせて広告を出すかどうかを選択できます。自社の商材の特性や販売戦略に応じて判断しましょう。

公式キャンペーン期間中は表示回数が増加しやすく、購入率も高まる傾向があるため、基本的にはこの機能をオンにすることをおすすめします。

⑦配信スケジュールを入力します。⑥の設定とは関係なく設定が可能です。

⑧任意のキャンペーン名を入力してください。

⑨「公開」を押して完了です。

TikTok Shop GMV Maxで成果が出る4つの理由

続いて、TikTok Shop GMV Maxによって売上が拡大する理由を4つの視点から解説します。これらの核心要素を理解することで、なぜGMV Maxが既存EC事業者にとって強力な売上向上ツールとなるのかが明確になります。

1. トラフィック分析による最適化

1つ目の理由は、ショップ全体のアクセス状況をAIがまとめて分析し、より効果的な広告運用につなげられる点です。GMV Maxでは、オーガニック投稿やアフィリエイト経由など、さまざまな流入経路を一括で管理し、売上につながる広告配信を自動で最適化してくれます。

従来は、オーガニック投稿の分析を担当するチームと、広告成果を管理するチームが分かれているケースが一般的でした。その結果、それぞれ異なるKPIを設定していたため、予算配分が非効率になったり、データ共有が不足したり、ブランドメッセージに一貫性がなくなるといった課題がありました。GMV Maxを使えば、こうした分断を防ぎ、よりスムーズな運用が可能になります。さらに、AIがエンゲージメントの高い投稿を自動で判定し、広告予算を優先的に配分してくれるのも大きな特徴です。たとえば、反応の良いオーガニック投稿やクリエイター投稿があれば、その投稿に広告予算を集中させて売上アップを狙えます。逆に、広告用に作成したクリエイティブが高評価を得た場合は、そのデータを今後のオーガニック投稿にも活かすことができます。

そのためにも、クリエイターとのコラボを積極的に行い、多様なクリエイティブを蓄積しておくことが重要です。

クリエイターの活用方法に関してはこちらの記事で詳しく説明しています。

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2. AI自動化による運用の効率化

2つ目の理由は、動画や配信コンテンツの設定から、広告の出稿・停止・予算の調整まで、すべての作業が自動化されている点です。これらを手作業で行う場合は、運用に多くの時間と人手が必要になりますが、GMV Maxを使えば負担を大幅に軽減でき、効率的な運用が可能になります。

また、商品の収益や過去の広告費用をもとに、AIが日々の予算や目標値を自動で計算してくれるため、複雑な設定もスムーズに進められます。広告の配信スケジュールもカレンダー形式で管理できるため、誰でも直感的に操作できるのも魅力です。

3. パーソナライズと導線の最適化

3つ目の理由は、ユーザーごとに最適な広告を届ける「パーソナライズ」と、購入までの流れをスムーズにする「導線の最適化」ができる点です。AIがユーザーの興味や行動データをリアルタイムで分析し、「おすすめフィード」「検索結果」「ショップタブ」などに、その人に合った広告を表示します。これにより、商品との出会いのチャンスが広がり、購入につながる流れも自然に整えられます。

TikTok Shopは、従来のようにユーザーが検索して商品を探す「検索型」のECとは異なり、動画や配信を見ている中で偶然商品に興味を持つ「発見型」のECです。GMV Maxは、ユーザーの趣味や関心をもとに広告を表示することで、潜在的なニーズを引き出し、購買意欲を高める能力を持っています。

4. 成果に応じた広告配信の自動調整

4つ目の理由は、売上目標や費用対効果に応じて、広告の配信量が自動で調整される点です。GMV Maxでは、AIが商品やLIVE配信ごとに目標値を設定し、その達成状況を判断します。もし目標に届いていない場合は、広告の配信量を自動で減らすことで、無駄な予算の消化を防ぎながら、効率的に売上アップを目指すことができます。

海外セラーの成功事例

次に、TikTok Shop GMV Maxの海外での成功事例を2つ紹介します。

Freshly Cosmetics(スペイン)

Freshly Cosmeticsは、天然成分を使った製品が人気のスペイン発コスメブランドです。同社はTikTok ShopでGMV Maxを活用し、広告コストを抑えながら売上の大幅な拡大に成功しました。GMV Maxの分析により、アフィリエイターによる動画コンテンツが売上に大きく貢献していることが判明したため、価格の異なる複数の商品をアフィリエイトコンテンツにて配信しました。その結果、売上は2,159%増加、広告の費用対効果(ROI)は411%向上し、1件あたりの注文コストも90%削減されるなど、非常に高い成果を上げています。

この事例は、GMV Maxの高度な分析力と自動最適化機能が、実際のビジネス成果につながった好例と言えるでしょう。(出典:TikTok for Business Success stories Freshly Cosmetics

Betterbrand(アメリカ)

Betterbrandは、アメリカのヘルスケア・製薬企業です。同社はTikTok ShopのGMV Maxを活用することで、広告運用のコストを抑えながら、事業全体の売上アップに成功しました。購入意欲の高いユーザーに商品広告が的確に届いたことが、成果につながった主な要因です。

実際に、四半期で100万ドルのGMVを達成しており、そのうち80%以上が広告経由によるものです。GMV Maxによるユーザーごとのパーソナライズが、効率的な広告配信を可能にし、低コストで高い売上成果を生み出した好例と言えるでしょう。(出典:TikTok for Business Success stories Betterbrand

TikTok Shop GMV Max効果最大化のテクニック

GMV Maxは、ただAIに任せっきりにすればよいという機能ではありません。この機能を活用してROIとGMVの改善・最大化を図るには、抑えるべきポイントがあります。

Product GMV Maxでのクリエイター動画活用

Product GMV Maxの効果を最大限に引き出すには、魅力的な動画クリエイティブの準備が欠かせません。しかし、社内リソースだけでは対応が難しい企業も少なくありません。

そんな場合は、TikTokクリエイターとのコラボレーションを活用することで、効率的に動画を制作できます。商品サンプルを提供し、オープンコラボやターゲットコラボを通じて、多くのクリエイターに動画を投稿してもらいましょう。その中で、売上に貢献した動画を選び、広告用クリエイティブとして再利用することが可能です。

実際に、弊社が支援する企業の多くがクリエイター動画を活用した広告配信を行っており、既存のECチャネルと比較しても非常に高い費用対効果を実現しています。

クリエイターに依頼する際は、アカウントの内容を確認し、自社のブランドイメージと合っているかを見極めることが重要です。なお、フォロワー数1,000人以上でコラボは可能ですが、より高い影響力を期待するなら、フォロワー数5,000人以上のクリエイターに絞ることをおすすめします

その他、クリエイターコラボについては以下の記事で詳しく解説しています。

インスタグラマー×TikTok Shopで成功する秘訣:海外事例に学ぶEC革命

これまでのインフルエンサーマーケティングは、InstagramやTikTokなどのSNS上でインフルエンサーに商品PRを依頼し、認知度を高めたり、外部のECサイトへ誘導して購入を促す手法が主流でした。…

LIVE GMV Maxとは

TikTokのLIVE配信で活用できる広告には、「ライブショッピング広告」と「LIVE GMV Max」の2種類があります。

「ライブショッピング広告」は、一般的な広告キャンペーンと同様に、目標CPMやCPCに基づいて課金される仕組みです。主にトラフィックの増加を目的としており、TikTok内での認知度がまだ高くないセラーにおすすめです。

一方、「LIVE GMV Max」は売上の最大化を目的とした広告で、ROIを重視した運用が可能です。すでに一定数のフォロワーがいる、商品認知度が高い、UGCが豊富にあるといった条件が揃っている場合は、こちらの広告が効果的です。

実際に弊社が支援する企業でも、LIVE GMV Maxを活用することでROIが1,000を超える成果を上げており、売上拡大やトラフィック獲得に大きく貢献しています。ライブコマースを検討している方は、ぜひGMV Maxを活用してみてください。

LIVE GMV Maxの活用ポイント

効果的に運用するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

①予算は通常の2〜3倍を目安に設定する。 AIが効率よく最適なユーザーを見つけるためには、十分な試行回数が必要です。高めの予算設定により、AIの学習がスムーズに進みます。

②現実的な目標値を設定する。 例えば、過去の実績が3.0であれば、次回は3.5を目指すなど、段階的な調整が効果的です。目標が高すぎると、AIが配信を抑制してしまう可能性があります。

③ある程度の売上実績があるアカウントで使用する。 LIVE GMV Maxは、過去7日間で約1,000ドル以上のGMVを達成しているアカウントで特に効果を発揮します。フォロワー数や売上が一定以上ある状態での導入がおすすめです。

参照:TikTok ビジネスヘルプセンター

GMV Max運用時の注意点

①広告アカウントは1つに統一する。 GMV Maxは、Seller Centerで指定した1つの広告アカウントでのみ利用可能です。複数のチームや代理店が別々のアカウントで運用すると、AIの学習が分散し、効果が下がる可能性があります。関係者間で使用するアカウントを明確にし、共有しておきましょう。

②既存広告は自動で一時停止される。 GMV Maxキャンペーンを開始すると、対象商品の既存のVideoショッピング広告やProductショッピング広告は自動的に停止されます。これはLIVE GMV Maxでも同様です。キャンペーン終了後も広告は自動では再開されないため、必要に応じて手動で再設定する必要があります。

まとめ

今回は、TikTok Shopの広告ソリューション「GMV Max」について、その概要や仕組み、海外での成功事例、そして効果的な活用方法を紹介しました。GMV Maxは、オーガニック投稿と広告の両方のトラフィックを統合的に分析し、GMVの最大化を目指すシステムです。AIによる高度な分析と自動化により、人的リソースに頼らず効率的な運用が可能なのが大きな特長です。

ぜひ本記事を参考に、GMV Maxを活用してTikTok Shopでの売上拡大を実現してください。

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