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インスタグラマー×TikTok Shopで成功する秘訣:海外事例に学ぶEC革命

2025.10.01
  • TikTok

これまでのインフルエンサーマーケティングは、InstagramやTikTokなどのSNS上でインフルエンサーに商品PRを依頼し、認知度を高めたり、外部のECサイトへ誘導して購入を促す手法が主流でした。しかし、「購入導線の複雑さ」や「費用対効果の可視化が難しい点」が課題となっていました。

2025年6月からサービスを開始したTikTok Shop(TikTok ショップ)は、アプリ内で商品の発見から購入までを一貫して完結できる新しい「発見型」ECプラットフォームです。さらに、投稿データもすべてセラーセンター上で分析できる機能も備わっているため、従来のインフルエンサーマーケティングの枠組みを大きく変える可能性を秘めています。

TikTok Shopのインフルエンサー戦略は、既存EC事業者の売上拡大手法として大きな注目を集めています。海外市場では、適切なクリエイター活用により短期間で劇的な成果を上げる企業が続出しており、日本でも同様の成功が期待されています。本記事では、実際の成功事例から学ぶ効果的なインフルエンサーの選定方法と活用ポイントを詳しく解説します。

※TikTokやTikTok Shopでは、インフルエンサーのことを『クリエイター』と呼びます。

TikTok Shop(TikTokショップ)でインフルエンサー(クリエイター)の活用が重要な理由

TikTok Shop(TikTokショップ)は、視聴者が偶然目にした動画やライブ配信で購買欲求が刺激される「発見型」のECプラットフォームです。従来のECサイトのようにユーザーがみずから商品を検索する「検索型」とは異なり、視聴者自身も気づいていない潜在的なニーズを引き出す力を持っています。海外市場ではすでに、クリエイターによる動画やライブ配信が大きな話題を集めています。

TikTok Shopには、ショート動画に商品タグを付けることで、視聴者がタグをタップするだけで購入できる「買い物カート付きショート動画」機能があります。また、ライブ配信ではクリエイターが視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを取りながら商品紹介を行える「ライブコマース」機能も搭載されています。さらに、プロフィールページに商品を掲載して購入を促す「プロダクトショーケース」など、多彩な機能が用意されています。

また、TikTok Shopは月額料金が不要で、必要な経費は7%の販売手数料のみです(2025年9月現在)。そのため、EC事業の規模がまだ大きくない企業でも、初期投資を抑えながら新規参入しやすく、収益化を目指せる環境が整っています。

この発見型ECの特性により、従来の検索型ECではアプローチが難しかった新規顧客層へのリーチが可能になります。クリエイターによるエンタメ性の高いコンテンツを通じて、商品の魅力を自然な形で伝えられる点が大きな特徴です。動画視聴という娯楽の延長線上で商品と出会えるため、購買への心理的ハードルが低くなる傾向があります。

インフルエンサーの影響力を活用することで、短期間で認知度向上と売上増加の両方を実現できる可能性があります。特に若年層を中心とした新たな顧客層の獲得において、TikTok Shopは従来のマーケティング手法では到達しづらかった領域へのアプローチを可能にするプラットフォームです。

インフルエンサー(クリエイター)活用によるTikTok Shop成功事例3選【海外編】

アフィリエイトプログラムを活用し、クリエイターとの連携によって大きな成果を上げた海外の成功事例を3つ紹介します。TikTok Shopが先行導入された海外市場では、売上を劇的に伸ばした企業が数多く存在します。日本でも同様の成果が期待できる可能性があるため、今後の施策の参考にしてください。

事例1:MySmile(アメリカ)

出典:TikTok for Business Success stories MySmile

1つ目の成功事例は、アメリカのオーラルケアブランド「MySmile」です。TikTok Shopで配信された動画やライブ配信では、クリエイターが歯のホワイトニングを実演し、大きな注目を集めました。歯が白くなっていく様子が視覚的に伝わったことで、視聴者の購買意欲が高まり、ホワイトニングキットの販売数が大幅に伸びました。実際に歯が白くなっていく過程がビジュアルで分かりやすく伝わり、売上向上を実現した事例です。

同社は3カ月間でGMV(商品総取引額)が100万ドル(約1.5億円)以上増加したほか、コスト削減にも成功しています。ROAS(広告費用対効果)は300%を維持しながら、CPA(顧客獲得単価)は80%も削減でき、費用対効果の高さが証明されています。ビフォーアフターが明確に分かる商品特性を活かした戦略が功を奏した例です。

事例2:Milk Makeup(アメリカ)

出典:TikTok for Business Success stories Milk Makeup

2つ目の成功事例は、アメリカのコスメブランド「Milk Makeup」です。同社は動物由来の成分を使用しないビーガン向けメイクアップ商品を展開しています。商品の魅力を効果的に伝えるために、コスメ商品を扱うクリエイターにコンテンツ制作を依頼しました。ユーモアや親しみやすさを重視した配信内容が大きな反響を呼びました。

動画は370万回以上も再生され、それによって商品は約11万9,000ドル(約1,800万円)の売上を記録しています。商品の特徴がクリエイターの手掛けるコンテンツによって効果的に伝わった成功例です。ブランドの価値観とクリエイターの表現力が見事に融合した事例といえます。

事例3:GQ Apparel(タイ)

出典:TikTok for Business Success stories GQ Apparel x Digital Bites

3つ目の成功事例は、タイのアパレルブランド「GQ Apparel」です。同社は冷却機能を搭載したジーンズ「GQ CoolTech Jeans」を開発し、TikTok Shopを活用して大幅に販売数を伸ばしました。クリエイター主導の動画によって視聴者に強いインパクトを与え、関連動画全体では6,500万回以上も再生されています。

また、ROAS(広告費用対効果)は560%、CPA(顧客獲得単価)は目標を30%下回るなど、話題性だけでなく費用対効果でも優秀な結果を達成しています。150名のクリエイター活用とSpark Adsによるクリエイター動画の広告配信で大きな注目を集めた成功例です。商品の独自性とクリエイターの創造力が相乗効果を生んだ事例です。

TikTok Shopアフィリエイトプログラムでインフルエンサー(クリエイター)と連携する方法

TikTok Shopには、インフルエンサー(クリエイター)が動画で商品を紹介し、売上に応じて報酬を獲得できる「アフィリエイトプログラム」という仕組みが存在します。アフィリエイトを実施するクリエイターはフォロワー数1,000人以上であることが条件になっており、販売を依頼する事業者であるセラーはクリエイターの持つ情報拡散力を活用できます。

TikTokのショート動画を視聴していて、配信者の紹介に魅力を感じて商品が欲しくなったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実際に日本でのTikTok Shopのサービス開始前から、TikTokの動画をきっかけに商品を購入した経験を持つユーザーは33.9%に達しています。TikTok経由の推定消費額は2024年は2,375億円だったとの調査結果も発表されています。

出典:TikTok Socio-Economic Impact Report〜日本における経済的・社会的影響〜(2025年6月発行)

セラーにとって、アフィリエイトプログラムが成果報酬型である点は大きなメリットです。この仕組みにより、初期費用を抑えながら複数のクリエイターと連携でき、仮に販売数が伸びなかった場合でも余分なコストが発生しません。また、アフィリエイト報酬は1%〜50%の範囲で自由に設定できるため、商品の利益率やLTV(顧客生涯価値)に応じて柔軟かつ戦略的に運用することが可能です。

この仕組みにより、セラーは初期費用を抑制しながら複数のクリエイターと効率的に連携することができます。成果に応じた報酬体系であるため、ROI(投資収益率)を明確に把握しながら、投資対効果を最大化できる点が大きな魅力です。従来の広告手法と比べて、より確実性の高いマーケティング投資が可能になります。

一方で、クリエイターにとっても自身の影響力を収益化できる仕組みとして機能するため、より質の高いコンテンツ制作への意欲向上が期待できます。セラーとクリエイターの双方にメリットがある構造で設計されていることが、このプログラムの継続的な成果と運用効率を両立させるポイントとなっています。

インフルエンサー(クリエイター)選定の基準と運用時の注意

TikTok Shopでインフルエンサー(クリエイター)を活用したアフィリエイトを展開する際には、押さえておくべき重要なポイントと注意点があります。自社商品と相性の良いクリエイターとのコラボレーションによって、動画やライブ配信が話題を呼び、売上が大幅に伸びる可能性があります。ただし、効果を最大化するためには、クリエイター選定の基準や運用時の注意事項を事前に理解しておくことが重要です。詳しくは以下で解説しますので、ぜひご覧ください。

成果につながるクリエイターの選び方

クリエイターの選定には主に以下のような基準を持つことが重要です。

・リーチ力の高さ

・エンゲージメント率の高さ

・フォロワーと自社ターゲットとの親和性の高さ

TikTok Shopではクリエイターごとの販売パフォーマンスをセラーセンター(管理画面)上で簡単に確認することができます。

まず注目すべきは、リーチ力の高さです。影響力を測る重要な指標として、平均動画視聴数に着目しましょう。数千回よりも数万回、数十万回の平均再生数を持つアカウントであれば、多くのユーザーにコンテンツが届く可能性が高くなります。特にTikTok Shopは「発見型」のECであるため、動画やライブ配信を偶然目にする人が多いほど、商品への興味や購入につながる確率が高まります。

次に重視すべきなのが、エンゲージメント率です。再生数やフォロワー数が多いだけでは不十分で、ユーザーがコンテンツに関心や信頼を示しているかどうかが重要です。対象アカウントが投稿している動画の「コメント」や「保存」、「シェア」などの反応数にも注目し、ユーザーとの関係性の深さを見極めることが成果につながります。

しかし、リーチ力やエンゲージメント率が高いクリエイターであっても、フォロワー層が自社のターゲットと一致していなければ、十分な効果は期待できません。たとえば、美容・コスメ系クリエイターのフォロワーは、他の商材ジャンルへの関心を持ちにくかったり、同じ美容系のクリエイターでも男女比のバランスや年齢層のバランスが自社のターゲットと異なる場合があります。起用を検討するインフルエンサーのフォロワー属性が、自社が想定するペルソナと合致しているかどうかを、事前にしっかり確認することが重要です。

インフルエンサー(クリエイター)起用で注意すべきポイント

アフィリエイトは、商品の認知拡大や販売促進に効果的な手法ですが、いくつか注意すべきポイントがあります。特に、クリエイターの言動によっては、動画やライブ配信での商品紹介が逆効果となるリスクがある点には留意が必要です。

たとえば、コンテンツの拡散を優先するあまり過激な発言や演出を行い炎上してしまうと、クリエイター本人だけでなく、アフィリエイトを依頼したセラーのブランドイメージや信頼も損なわれる可能性があります。また、悪意がなくても、事実誤認や認識のズレによって、実際の商品仕様と異なる情報が発信されてしまうケースも考えられます。

こうしたリスクを避けるためには、クリエイターの慎重な選定、投稿内容の事前確認、そして配信前の明確なディレクションが不可欠です。

まとめ

本記事ではTikTok Shopにおけるインフルエンサー(クリエイター)の活用方法、海外での成功事例、そして選定基準や注意点について詳しく解説しました。

TikTok Shopは、TikTokアプリ内で商品の販売が可能な新しいECプラットフォームです。クリエイターによるエンタメ性の高いコンテンツを通じて、自然な形で商品の魅力を伝えられる点が大きな特徴です。すでにアメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなどでは、アパレルやコスメブランドを中心に多くの企業がアフィリエイトプログラムを活用し、売上を大きく伸ばしています。動画やライブコマースでのクリエイター活用は、TikTok Shopを成功に導く重要な鍵です。

日本国内でも、TikTok Shop市場の拡大が今後ますます期待されています。クリエイターの活用にご興味を持った方は、ぜひこの新たなビジネスチャンスを活かして、売上アップに挑戦してみてください。

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