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TikTok Shopのメリット・デメリットと出店成功のポイントを解説

2025.08.27
  • TikTok

TikTok Shop(TikTok ショップ)は、TikTokのアプリ内で商品を販売・購入できるサービスです。日本では2025年6月30日にサービス開始しています。海外では既に驚異的な成長を見せており、2024年、アメリカでのGMV(流通取引総額)は90億ドル、インドネシアでは62億ドルを記録しました。

TikTok Shopに興味や関心を寄せているEC事業者の方がいる一方で「具体的な利点や課題がわからず、出店すべきか判断に迷っている」という事業者の方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、TikTok Shop出店の具体的なメリット・デメリットを詳しく解説します。さらにデメリットの回避・対処方法や出店に向いている事業例についてもご紹介しますので、TikTok Shopに出店すべきか迷っている方はぜひご覧ください。

TikTok Shopの基本機能と市場背景

TikTok Shopとは、ByteDance社が運営するショート動画アプリ「TikTok」内で商品の販売・購入を行えるECサービスです。動画やライブ配信に商品リンクを設定でき、ユーザーは動画視聴から購入までアプリ内で完結できる点が最大の特徴となっています。

現在実装されている主要機能は以下の通りです。

買い物カート付きショート動画ショート動画に商品購入ボタン付けし、ユーザーが動画内から決済できる機能
ライブコマースライブ配信画面に商品購入ボタンを表示できる機能で、配信者はユーザーとコミュニケーションを取りながら商品紹介できる機能
プロダクトショーケースアカウントのプロフィールページ上に商品を表示し、そこから購入できる機能
アフィリエイトプログラムTikTokクリエイターに商品プロモーションを依頼できる。クリエイターは商品の販売実績に応じて成功報酬を得られる仕組み
ショップ広告ショップ広告には、Video Shopping Ads(動画ショッピング広告)、LIVE Shopping Ads(ライブショッピング広告)、Product Shopping Ads(商品ショッピング広告)、GMV Max広告、Live GMV Max広告の5種類があり、各ショップ広告ごとで商品を宣伝できます。

TikTok Shop出店で得られる5つのメリット

TikTok Shop出店により事業者が得られるメリットは多岐にわたります。最大の魅力は大きなビジネスチャンスを提供してくれる点です。以下の記事でメリット5つを、詳しく紹介していきます。

  • 新たな顧客層へのアプローチが可能
  • サイト遷移時の離脱・カート落ちの防止
  • 低コストでの事業参入
  • インフルエンサーによる商品プロモーション

新たな顧客層へのアプローチが可能

日本国内におけるTikTokの月間アクティブユーザーは3,300万人以上を誇り、膨大な数のユーザーにリーチできます。(出典:TikTok for business TikTok Academy for Brand Playbook vol.1 )既存のECサイトではリーチできなかった顧客層にアプローチでき、初期段階では競合セラーが相対的に少ないため顧客獲得単価も抑えられます。

TikTok Shopは「発見型購入」が特徴で、ユーザーが動画を楽しむ中で偶然出会った商品に興味を持ち、そのまま購入へ進めます。ユーザー自身も気づいていなかった潜在的なニーズを引き出しやすく、従来アプローチできなかった新たな顧客の獲得が期待できます。

サイト遷移時の離脱・カート落ちの防止

ユーザーは気になる商品を見つけた際、TikTok Shopのアプリ内で素早く購入手続きを完了できます。外部サイトへの遷移による煩わしさや時間経過による、購買意欲低下を防ぎやすい構造です。

アメリカのEC調査会社Baymard Instituteの調査では、多くのユーザーが「チェックアウトプロセスが長すぎる、複雑すぎる」ことを離脱・カート落ちの理由として挙げています。(出典:Baymard Institute Cart Abandonment Stats )TikTok Shopの簡単な購入プロセスは、離脱・カート落ち防止に期待ができます。

低コストでの事業参入

TikTok Shopのアカウント開設は無料で、月額利用料金も発生しません。必要なコストは販売成立時の手数料のみで、日本での基本手数料は流通取引総額の7%です。アメリカでは約8%、東南アジアでは5〜10%となっており、各国で同程度の料率が設定されています。(出典:VOGUE BUSINESS 出典:ECOMOBI

インフルエンサーによる商品プロモーション

アフィリエイトプログラムにより、多数のフォロワーを抱えるインフルエンサーによる商品プロモーションが実現できます。成功報酬型のため、販売が振るわなくても過度なコスト負担の心配がありません。

クリエイターのアフィリエイトプログラム登録にはフォロワー数1,000人以上が必要で、影響力のあるクリエイターのみに限定されます。また過去の違反行為についても審査が行われ、社会的信頼性の高いクリエイターのみがアフィリエイト権限を獲得できる仕組みとなっています。

実績に裏付けられた市場拡大の可能性

アメリカでのTikTok Shop年間GMV(流通取引総額)は90億ドルに達し、特にブラックフライデー期間中は11月29日の1日だけで1億ドルの売上を記録しました。これは前年同日の3倍にあたり、成長スピードの速さを物語っています。(出典:Tech Buzz China Insider) イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国や東南アジアでも成長が続いており、日本市場でも同様の成長が期待されます。

TikTok Shop出店で注意すべき2つのデメリット

TikTok Shop出店には多くのメリットがある一方で、事前に理解しておくべきデメリットも存在します。成功するためには以下の2つのデメリットを十分に把握し、対策を講じることが重要です。

  • 継続的なコンテンツ制作の負担
  • 急激な注文増加への対応リスク

継続的なコンテンツ制作の負担

ユーザーの購買行動を促すには、魅力的な動画・配信コンテンツを定期的に発信し続ける必要があります。自社で制作する場合、コンテンツ制作の技術習得と継続的なリソース確保が欠かせません。また、撮影機材の準備や編集スキルの向上、トレンドに合わせたコンテンツ企画なども求められるでしょう。

今後は多数の事業者参入が予想され、膨大な数の動画やライブ配信が投稿されることになります。自社コンテンツが埋もれることなく、多くのユーザーに視聴・拡散される質の高いコンテンツの継続的な制作が求められます。特に競合が増加すると、より工夫を凝らしたコンテンツが必要となるでしょう。

急激な注文増加への対応リスク

コンテンツや商品が話題となり販売数が急激に伸びた際の受注・物流対応体制が重要な課題となります。既存の受注システムとの連携不備により在庫数が確保できず売り越しが発生したり、配送遅延が生じたりするリスクがあります。

これらの問題は販売機会損失やクレーム発生につながる可能性があるため、安定したバックヤード体制の構築が不可欠です。海外ではFBT(Fulfilled by TikTok)というTikTokによる物流代行サービスが展開されていますが、日本での導入は現時点では未定となっています。

既にEC事業を運営している事業者の方であれば物流体制は構築済みのケースが多いでしょう。ただし、TikTok Shopでの急激な注文増加に対応できるかどうか事前検証が重要です。自社の受注システムとの連携可否やオペレーション実現可能性を確認しておく必要があります。

TikTok Shopデメリットの解決策

TikTok Shopでの継続的なコンテンツ制作の負担については、アカウント運営・Shop運営・コンテンツ制作の支援サービスを提供する外部企業への依頼が有効な解決策となります。専門知識を持つパートナーに任せることで、質の高いコンテンツを安定的に制作できるだけでなく、TikTokのアルゴリズムやトレンドに対応した効果的な動画制作も期待できるでしょう。

また、アカウント運営やコンテンツ制作を外部に委託することで、事業者は在庫管理や物流体制の安定化、既存EC事業の拡充など、ほかの重要業務にリソースを集中できるようになります。

特に初回出店では予期せぬ課題が発生する可能性もあるため、経験豊富な専門パートナーとの連携が成功への近道となります。

TikTok Shop出店で成功しやすい事業者の条件

これまでに説明したメリットとデメリットを踏まえると、視覚的な魅力を効果的に伝えられる商品を扱う事業者がTikTok Shopで成功しやすいと言えます。

以下のような商品を取り扱う事業者は出店をおすすめします。

  • 化粧品・コスメ
  • アパレル
  • 食品
  • 調理器具
  • 小型家電製品・ガジェット

コスメやアパレルは配信者が実際に使用・着用することで、雰囲気やテイスト、サイズ感を視覚的に伝えやすいです。調理器具や食品は実際に調理する様子を配信することで魅力が伝わりやすくなります。ただし、生鮮食品および冷凍食品は、TikTok Shopのガイドラインにより一時的に販売対象外となっていますのでご注意ください。

小型家電や電子機器などコンパクトな商品もスマートフォンの画角に収まりやすく相性が良い商品です。特に課題解決型の商材はショート動画やライブコマースでエンタメ仕立てに商品ストーリーを伝えやすく、TikTok Shopでの販売に適しています。

まとめ:TikTok Shop活用でビジネス拡大のチャンスを掴もう

TikTok Shopは新規顧客獲得、低コスト参入、成長市場への早期参入など、ビジネス拡大の大きなチャンスを提供してくれる魅力的なプラットフォームです。海外での圧倒的な成長実績が証明するように、日本市場でも同様の成功が期待できます。

継続的なコンテンツ制作や注文数増加への対応といった課題は存在しますが、これらは適切な対策により十分に克服可能です。

従来のユーザー検索型ECとは異なる「発見型購入」の特徴を理解し、自社商品との親和性を見極めることで、新たな販路として大きな成果を上げることができます。特に視覚的な魅力を持つ商品を扱う事業者にとって、TikTok Shopは従来のECではリーチ出来なかった新規顧客へのアプローチが可能になります。

自社のビジネスモデルやターゲット層に合った運用方法を見極め、メリットとデメリットを十分に理解したうえで出店を検討してみてください。デメリットへの対策や運営体制の構築でお困りの際は、専門的なサポートサービスの活用をご検討いただくことをおすすめします。

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